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公務員を辞めたい人が増えている理由

こんちくわ!!

公務員を辞めたい人が続出している問題ついてお話します。

 

最近、ツイッター上で地方公務員の劣悪な職場環境についての投稿が盛り上がりを見せています。

もう辞めたい。そんな声が多く聞こえてきます。

 

そこで、元市役所職員である僕も参戦したいと思います。

どうぞよろしくお願いします。

市役所勤務であったため、地方公務員(市役所)を念頭にお話ししていきたいと思います。(国家公務員にも妥当する点が多いと思います。)

 

内的要因

お給料面

まず、地方公務員が安月給である点について。

これは半分正しくて、半分間違ってます。

確かに田舎基準、小さな中小基準で言えば役所の給料は高いです。

ぼくのいた田舎の役所でさえ、課長職で700万程度。部長職で800万ちょいでした。

出世しなかった人が課長で止まり、出世できた人は部長まで行きます。うちの市には局長はなかったです。

形式的には副市長までは出世の可能性があります、実質的にはなれません。なれるのはコネがある人です。

ですので、出世して850万程度。できなくても700万くらいは行くかなといった感じ。

ですので、中小よりは高いです。

ただ、市役所の職員はわりと有名大学出身が多めです。いわゆる無名大学卒はかなり少ないと思います。

自分のいたところでは、京大とか横浜国立、地方国立などが大勢いました。次点で東京六大学などが多いようでした。ニッコマ、愛大、産近などの中堅私大がギリギリいるといった感じです。

もっとも、高卒採用も一応ありました。ただし、可愛くてスタイル良い地元の女子だけって感じです(ガチ)。

なので、学歴を考えると、民間就職したらもっと年収高くね?って人が多かった気がします。

 

手当がショボい

公務員は手当が厚いとよく言われます。

これも、中小企業基準でいえば確かにそうかもしれません。

ただ、住居手当は28,000円ほどしか出ませんし、これを満額貰えるのは家賃が57,000円を超えた時だけです。

家賃が40,000円のところに住むと、住居手当は19,000円しか出ません。

これは国家公務員基準ですが、ほとんどの自治体がこれを丸パクリしています。

昔の京都市などはもっとひどいです。今は多少改善したかもしれませんが。

そして、交通費も普通です。

あとは扶養者手当もあったと思いますが、そのくらいです。

ディズニーランドが少し安くなるとか、新幹線が500円安くなるとか、誰得な厚生は一応ありました…

なので意外とショボいです。

公務員になれるレベルの人が行く民間ならスポーツジムが格安とか普通にあります。

 

確かに手当の種類自体はたくさんありますが、危険地勤務手当とか寒冷地手当とか、およそ市政が始まって以来一度も支出されたことがないような手当が並びます。

これは恐らく、大震災などが起きたときに遠くから派遣された職員に払われたりする手当です。

北海道とかなら寒冷地手当で暖房代がいつも出てるのかもしれませんが、日本の一般的な気候であれば出ないところばかりです。なお北海道庁は全国でも屈指の不人気自治体。

で、出てもかなり少額です。一日150円とか。

地域手当がありますが、ほとんどの自治体では0%です。つまりゼロ円。

確か東京23区で最高額の20%、横浜で18%、大阪で16%くらいでしょうか。

これを基本給に乗じます。

ほとんどの自治体はもらえても2%か4%です。大多数が0%。

ちなみにこの地域手当は基本給のほか、賞与額にも反映されるため、手当という名前ですが実質的には基本給として考えて良いものです。

 

保守性

組織が変われないという問題があります。

民間の方が柔軟です。世間からの評価を気にしていますし(JTCはこの限りではない)

役所は、そんなもの気にしません。だって倒産しませんし、誰にも怒られないからです。

一般的な労働法が適用されない部分が多く、労基も基本関与しません。税務調査で怒られることもありません。お国に睨まれないことだけ考えてればOKなのです。

なので、セクハラやパワハラ問題など昨今の社会問題に対する感受性が低く、旧体制を引きずってしまいがちです。

女らしさや男らしさが求められますし、昔ながらの日本人としての精神(年上は神)が求められます。

 

人手不足

どんな状況でも基本的に人員配置は変わらないです。

人の数が厳格に決まっており、変えるためには議会に提案しないといけなかったりします。なので、問題があってもずっとそのままです。

過労死とか自殺も多く起きてますが、報道されないことが多いです。

なので、部署によっては死ぬほど暇な一方で、激務の部署は本当に死にそうになります。

とある自治体の観光課職員は残業が多すぎて、中堅職員に過ぎないのに市長の次に給料が多くなってしまったそうです。

残業代が出るのはいいことですが、まぁ当然なことなので。

ちなみにサービス残業はあるところはあります。

予算足りなくなるギリギリのとこなら、かなりの確率でサービス残業として処理されます。

役所は予算が厳格に決まってます。これも議会案件だからです。地方議会で許可とらないと予算組めないからです。

なので、予算が足りなくなるとどうするかというと、予備費からの支出や補正予算案を組む必要が出てきます。

予備費で済むならまぁ腹パンされるくらいで許されるかもしれませんが、補正予算は絶対避けたいのが役所。

そこまでいくと、謎の圧力がかかるようになり、従わないと干されます。(ガチ)

干されるというのは、わかりやすくいえば「イジメられる」ということです。

口をきかない、仕事を教えない、重要な事実を伝えないなどなど。

いい大人がこんなことしてるんですから、子供のイジメなんて100年後も絶対残ってます。素晴らしい国ニッポン!

なので、そうなったらサビ残確定。

 

ボランティア強制参加

謎の行事に参加させられます……。

地方の行事やボランティアに参加させられます。もちろん無給です。

断れば干されます。

また、これとは別に防災活動や清掃活動、選挙対応などもすることになります。

防災活動は、水害発生時の訓練、地震発生時の訓練などです。

選挙は意外と頻繁にあります。国会議員を選ぶ国政選挙、地方の首長を選ぶ市長選、県知事選、地方議会議員を選ぶ選挙、それぞれ人が抜ければ補欠選挙があります。

選挙前の準備作業、選挙会場の準備、当日の会場対応、選挙後の開票作業、選挙後の集計や後片付けといった後処理。いっぱいあります。

もちろんこういった公的な活動は給料が出ます。

ただ、かなり厳格にしか出ないです。

つまり、ピンポイントで活動した時間分だけです。

ほぼ一日拘束されたのに、4時間分のお金しかもらえないとか、ザラにあります。

誰にキレても仕方ないです。「例規で決まってるから…」と言われて終わります。

民間の会社員がゆっくり土日を満喫していても、公僕はうかうか寝てられません。

そういえば、阪神タイガースの優勝パレードで派遣された大阪の市の職員、ボランティア扱いで無給だったらしいですね。いい例です。

 

スキルが身に付かない

スキルが身につきません!!

転職のところと同じで、民間で通用するスキルが身に付きません。

役所には役所のスキルがあります。

資格とか取ってる人はほぼゼロです。取っても1円も給料増えません。

なので、ステップアップしないし、できないです。

ずっとそこで働くしか選択肢がなくなります。

確かにずっと役所の中で働くので、お役所スキルを身に付けることはできます。

旅費請求を完璧にできるとか、入札公募手続きを把握していて早いとか、随意契約の理由書を速攻で起案できるとか?でもこれができるようになっても、恐らく誰にも評価されません。

例え部長や局長になり議会対応をしていても、そんな仕事は民間では役に立ちません。

言い換えれば、部下が用意した資料を読み上げるだけの作業ですからね。

とにかく長く在籍していることこそが正義なのです。

スキルなんて求められてないし、だれも評価してくれません。

なぜなら、評価者もまた、在籍しているだけでその地位に辿り着いた人間だからです。

評価基準はおのずと「在籍年数」になります。

 

教育に無関心

誰も仕事を教えないです!!本当に!!

これはツイッターでもバズってました。

誰も教えません。理由は知らないです。多分、慣れたら誰でもできるからです。

あとは、人員配置がカツカツなところも多く、教える余裕がないからです。

新人が来ても、それは即戦力と同じ扱いを受けます。

例えば、今まで中堅2人、ベテラン1人の計3人でやってたとしましょう。

ベテランが異動でいなくなり、新人1人、中堅2人になったとします。

当然、教える余裕なんてありません。新人には少なくとも中堅程度に働きが求められ、かつ誰も教える余裕がないので残業大発生確定します。

公務員の管理職は何もせずに机に座ってるのが仕事なので、新人に教えたり中堅職員を手伝ったりはしません。

また、人事異動は事前にわからないです。

2週間くらい前になって初めてわかります。なのでみんな大急ぎで引っ越しの準備をして、気づいたら新年度。

地方といえども、広いとこは広いです。よくわからん支所とかに飛ばされる危険もあります。そうなったら、もはや今生の別れです。

工夫すれば全然良くなる可能性はあるのですが、役所に工夫なんて言葉は持ち込んではいけません、干されます。水と油です。

 

外的要因

世間様からの厳しい声

世間からぶっ叩かれます…。

政治家は票を増やすために、公務員叩きをします。自分の給料は伏せながら、役所はこんなに貰っててけしからん!と言います。

それに国民は賛同してしまうので、とにかく叩かれます。

クレームの嵐です。

役所の人間は自分の仕事を会社員であると偽装することが多いです。叩かれるからです。また、外では自分の役所のことを「うちの会社」と言って偽装します。叩かれるからです。

「どこどこで役所の人間と思われる人物が〇〇の話をしていた。これはきっと公務員の待遇が良く、浮世離れしているからに違いない!税金で食ってるくせに!けしからん!クレームいれてやる!」

こんな感じになるので、コソコソしながら生活を送ることになります。告げ口などのリスクが高いわけです。

コソコソするから、一層その実態も表に出ないことになり、またイメージだけで叩かれることになります。負の連鎖。

一般人の考える役所の仕事は、市民課の窓口でパートのおばちゃんがやっている仕事だけです。あれだけを40年間ずっとやっていると本気で思ってる人が多いので、めちゃ叩かれます。

 

土地に縛られる

土地に縛られます。田舎でコレはきつい!

転勤がないのは良いことだと思いますが、土地に縛られ動けません。一生そこで暮らしていくことになります。

転職すれば良いと思うかもしれませんが、市役所からの転職はかなり厳しいです。

民間との間に壁があります。

役所の仕事の特殊性が民間の人には全く理解できないからです。

民間からすると「何にも成果物ないよね?」となりますが、役所の人間からすれば売上や契約件数なんて意味のない数字です。「何事もトラブルが起きずに円滑に業務を遂行し続けた」これが一番優秀な証拠になります。

役所はトラブルが起きるのが一番の失敗です。平等に、昨日と同じ状態を保つことに意味があるのです。

だから、民間にアピールできる材料がないです。

よって、転職も難しいので、一生そこでその仕事しかできない人間になります。

 

一応良い点もあります

良い点もなくはないです。

共済貯金

民間の財形貯蓄にあたる共済貯金の利率が銀行に比べて100倍くらい高かったです。半年複利です。年利1%超えが普通です。

もっとも日本はここ最近、利上げに方向転換するようになりました。

ですので、差は50倍~くらいに縮まってきています。

現在でも100倍くらいの差を維持しているリッチな都道府県もあります。

 

ほぼ確実にクビにならない

無能でもクビになりません。素敵。

退職金がちゃんと出ます。僕のいた田舎でさえ、勤め上げれば2,000万もらえました。

女性は休みやすいです。そもそも激務部署には配属されない傾向が強いです。

良く言えば良い話ですが、旧来の男女感が根強く残っている点に注意が必要です。

(あなたの意に反した"女性らしさ"を求められる場面も必然的に多くなるでしょう。)

もっとも、飲み会や接待は全て自腹です。税金で飲み食いできる機会はまったくの0%です。ジャンパーなどのユニフォームや名刺も全て自腹です。これはキツイ。

あ、でも日本なら民間でもほぼ確実にクビにならないので、うん、まぁ…

 

仕事が楽?

部署によっては究極的に楽です。よく田舎に小さな〇〇市科学館とかありますが、ああいうとこは基本楽です。面倒な業務が民間に委託されてて、二人くらい管理職的な市の職員が入ってたりします。市立図書館、市民会館とかも。

ただ、そういう暇なところは基本若い人のポストはありません。中間管理職以降のポストが多いです。そのうえ、そもそも枠が一人とか二人なんで。

で、本庁とかは忙しいです。市民課の窓口近くにいる人でさえ、パンピーが思ってるより忙しいです。

仕事は住民票の交付だけじゃないんです。というかそんな仕事はコピー用紙の補充みたいな雑務レベルです。

内部的な依頼とか毎日来ますので、そういうのを頑張らないといけないんです。

ちなみにぼくは政策的な課にいましたが、外勤がある日は深夜24時過ぎに帰宅する日や、朝の(というか深夜)3時に集合して、そのまま夜の23時まで働く仕事とかもあって、わりと大変でした。

外勤がなくても、年末年始や年度末が近くなると、夜の23時くらいまで庁舎に残って仕事していた時もありました。

防災系の課の人も、選挙と台風が重なってしまった日には日曜の朝から夜まで選挙事務をして、そのまま夜は防災の仕事に従事し、寝ないで月曜を迎えてたりしました。

大変なとこは本当に大変です。

 

終わりに

こんな感じで、悪いところはたくさんあります。

業務内容自体は公的なもので、一定のやりがいを見出すことができると思います。

もっとも、組織としての問題が大きく、日本社会の悪い部分を濃縮した感じなので、やりがいなんてドンドン潰されていきます。

本来力を入れるべき問題も、「何かあるといけないから…」という上司の言葉で全てが台無し。

頑張ってもインセンティブがないので、管理職は何もしたがりません。

「今日も管理職が誰にも詰められず、嫌な思いを一切せずに定時に帰宅できる」といった環境を作ることこそが公務員の一番の職務となっているのです。

少なくとも、やる気や倫理感のある人が行く場所ではないです。

 

良い点ばかりじゃないよ、ということを知ったうえで、市役所を目指される方などには頑張ってもらいたいです。

また、公務員が嫌いなみなさんも、留飲を下げていただきたい。全然待遇良くないので。

ということで、みなさんの人生を応援しています。

 

なんだか心が疲れた方は、↓の旅行記事でも読んでリフレッシュしてください。

ushiro-no.hatenablog.com

 

 

参考文献

総務省『地方公共団体における時間外勤務の上限規制及び健康確保措置を実効的に運用するための取組の推進について(通知)』令和4年

https://www.soumu.go.jp/main_content/000853563.pdf

総務省 地方公務員給与実態調査

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/kyuuyo/kyuuyo_jc.html

人事院『国家公務員給与の実態~ 令和5年国家公務員給与等実態調査の結果概要 ~』令和5年8月

https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/pdf/r05_kyuyo.pdf

内閣官房内閣人事局『国家公務員の給与』(令 和 5 年 版)

https://www.jinji.go.jp/content/900025423.pdf