昔話です。
心して聞いてください、いいですね。
私の友人に、幼い頃から目が悪い子がいました。K君とします。
お医者さんからは良くなることはないだろうと言われたらしく、ずっとメガネを掛けていました。
しかし、K君は中学3年のある時、急にメガネを掛けなくなりました。
不思議なことに、目が急激に良くなったそうです。
ずっと分厚い眼鏡をしていたので、みんなびっくり仰天です。
そんなK君に、とあるクラスメイトがこんなあだ名を付けました。
メガネを失ったモンスター、メガモン。
私は、現在までこんなに秀逸なあだ名を聞いたことがありません。
クラスメイトはみんなK君をメガモンと呼ぶようになりました。
可愛らしくて、なおかつ少年心をくすぐる語感、最高です。
ある日、社会の授業中に、一人の男子生徒が「メガモン」と呼んだところ、それを聞いたT先生がブチ切れました。
「おい!!Kのことをメガモンって呼ぶのやめろ!!!」
あまりにも急な出来事で、みんな目が点になってしまいました。
「そうやって呼ばれた側の気持ちを考えたことあるのか!?」
T先生は真っ直ぐな瞳でクラス全員を見たあと、もう一度言いました。
「もうメガモンって呼ぶのはやめろ」
そして、なんとも言えない空気のまま、その日の授業は終わりました。
さて、先ほどからメガネを室内で紛失しているため、メガモン状態の私がいます。
何となく思い出したことを書いてみただけですので、オチはありません。
ちなみにですが、メガモン当人はメガモンと呼ばれることに対して何一つ嫌悪感がなかったらしく「T、マジで意味わかんねえw」と笑っていました。
そしてその後、T先生は部活中にK君に対して「死ね!」などと暴言を吐いたうえ、キックしていたことが問題となり、保護者やK君に謝罪するハメになっていました。
また、K君はバスケ部でしたが、敵からボールを奪った直後、風のような速さで自軍ゴールへドリブルしていき、華麗に自滅シュートを決めるというお茶目なチェリーボーイでした。
その際、T先生が言い放った「お前は敵のスパイかァっ!!!!!」という名言は今でも語り継がれる、青春時代の1ページであります。
うむ、そんなことより、私のメガネはどこへ行ったのでしょうか。
おしまい。